ポンピュン走法実践編 [走]
やっと、春休みが終わり、息子どもが学校に通うようになったので、誰もいない我が家で思う存分ブログが更新できるようになりました^^;
ブログ画面開いてると、息子達が「仕事しろよ!」と背中越しに文句を言ってくるのでありまして…m(__)m…
「長い春」は去り、また今まで通りのペースに戻していきたいと想っております。
それでは、だいぶ更新が空いてしまいましたが、「ポンピュン走法(ポンピュンラン)」の締めの記事に入りますです。
間違いなく、“しっかり”と“正確”にトレーニングを積めば、短距離走の自己記録を更新できるはずだと断言できる、ポンピュンラン(もしくは、ポンピュン走法)。
それでは、息子に具体的にどのような練習をどのくらい、施してきたのか。
前回の記事でも書きましたけれども、「速く走るため」に必要な“意識”は、
「膝を“上げる”というような、“腿上げ走”のイメージは一切捨てて、膝をできるだけ“前”に“素早く”出す(ピュン)」
「地面を後ろに蹴るというイメージは捨てて、前に出した脚を、その足裏の真下の地面を強く叩くように“真下”に“落し”“弾むように”走る(ポン)」
である、と、川本先生の著作を読み、DVDブックの映像を見て定義した。
川本先生、これで間違いは無いでしょうかなぁ?
一度直接、ご指導を賜りたいものでありますが、まず、無理なので、販売されている著書とDVDの映像、テレビの番組等で紹介された時の録画などを駆使して、自分の息子達の脚を速くするべく、研究を重ねるのであります。
野球では、【走・攻・守】と言われる様に、一番最初の【走る】という能力はある意味一番大事なモノだとも言えるはず。野球技術が少々悪く、多少打てなくても、キャッチングが下手でも、極論すれば、足さえ早ければ少なくとも“代走”という役割を得ることができ、生き残ることができるのだ。
アマチュアレベル、特に、エラーの多い学童野球なんかじゃ、バッティング練習にヘタに力を入れるより、実戦的なベーランをとことんやらせた方が、手っ取り早くチーム力をアップさせられたりする時もある。
それだけ、「脚が速い」という能力は、野球というスポーツにおいてはとてつもなく、重要な能力である。
攻撃においても、盗塁に活かせるのは当然、ボテボテの内野ゴロでも「内野安打」にすることができる。脚の遅い選手であれば、4打数2安打の結果でも、脚が速い選手であれば、4打数3安打の猛打賞を得られる可能性が、シーズンの中では飛躍的に増えるのだ。イチローから「内野安打」を抜いたら、これほどの長期間にわたり、シーズン200安打以上という連続記録を樹立できたでありましょうや?
ちなみに、ウチの三男君、6年生だけでつくる連合チームで打率.408で首位打者をぎりぎり取れたのだが、内野安打数は12(出場試合数53、打数125)で二位(7個)を大きく引き離して一番多い数を記録している。この内野安打がなければ当然首位打者は達成できなかった(ちなみに出塁数97で盗塁成功数43・成功率.935と、いずれもキャプテン君に次いで2位)。
守備でも、守備範囲の広い外野はもちろん、ショート、セカンドでさえ、脚が遅ければ(というか、反応が悪ければ)レギュラーにはなれないのである。
脚を速くするために、サッカーの全日本監督の岡田氏も、川本氏を招いてポンピュンランの指導を仰いだという。研究熱心な指導者は、間違い無く、ポンピュンランの有効性を把握されているのでありましょう。
さてそれでは、まず自分で一番衝撃をうけた部分を紹介しつつ具体的なドリルの話に入っていきましょう。
【 地面を“後ろ”に蹴らない 】
これは「!?」なポイントでございましたなー^^;
前回の記事「ザ・ポンピュンラン!」にも書いたが、脚の力は、重力に対抗するために使用すべきであって、土を後ろにけっぱるために使うものではなかったのである。
地面を後ろに蹴ろうとすると、余計な動きが大きくなり、膝を「前に」出すタイミングも遅れ、結果、前進するための体重の移動もロスが非常に多くなってしまう、のである。一歩あたりは、0.01秒のほんの僅かなロスでも、100歩走ると「1秒分のロス」になる、ということなのだろう。
次の“目からウロコ”だった指摘は
【 “腿上げ”という意識を捨てる 】
ということである。
膝は、「移動したい方向」へ、素早く出してやるものであり、「上へ挙げるモノではない」のである。
言われてみれば、ごもっとも。
御自身も著書の中で、「腿上げ走」という誤ったトレーニング法を指導に用いていた頃の悔恨をせつせつと述べられていらっしゃるのだが
2時間で足が速くなる!―日本記録を量産する新走法 ポン・ピュン・ランの秘密
- 作者: 川本 和久
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/02/29
- メディア: 単行本
『 … 私はトロントにあるヨーク大学に留学しました。マック(ベン・ジョンソンなど世界的スプリンターを育てたポーランドの名コーチ)が住むオタワからは300キロくらい離れています。
でも幸運なことに、待ち望んでいた対面のチャンスは意外と早く来ました。留学して一ヶ月くらい経った時、マックがヨーク大学の練習グラウンドに現れたのです。
私はマックのところに飛んでいって長年の疑問をぶつけました。
「あなたが来日した時に教えてくれた、もも上げのトレーニングがあるでしょう。日本の選手たちは、いまこんなふうに練習しているんです」
そう言いながら渾身のドリルを披露したのです。
マックは怪訝そうな顔をしながら私のもも上げを眺めていましたが、やがて、「そんなふうには教えていないよ」と言いました。
ショックでした。
ベン・ジョンソンの練習風景を見て以来、「マック式もも上げは間違いではないか」と頭の片隅では思っていたのですが、本人の口からはっきり否定されると、ガツンとバットで頭を殴られたような衝撃があります。
本当にショックでした。
1984年から7年かけて練り上げてきたトレーニング方法を全て否定されたのですから、無理もないでしょう。… 』
この本は、川本先生が「ポンピュンラン」を産み出すまでのプロセスが念入りに書かれているのでおもしろかったですよ。そして、高校生時代、陸上部で3年間、とことん「腿上げ走」をやらされてきた私も、川本先生の「ポンピュンラン」に出会って「がっかりさせられた」わけである^^; 私と同年代の陸上競技経験者は誰もが、この「ポンピュンラン」を知れば皆さん、青春時代に戻ってやり直してみたいと想うのではなかろうか。
今や、「もも上げ走」なるドリルは、「練習中は水飲むな」「腹筋やる時、脚をまっすぐ伸ばして足首を押さえて、勢いよくバンバンやれ」「野球選手は水泳をやってはいけない」という“迷信”と同じレベルのエクササイズに成下がっているのだ。
「速く走るために」という目的で、未だにもも上げ走なんかやらせている監督やコーチは、「研究不足」の指導者であると想われてしまいますぞ。ただ、腸腰筋を鍛える、股関節可動域を広げる、という意味合いにおいては必要なドリルにもなり得るので、そういう“意識”でやらせる分には良いのでしょうが。その意識の持ち方においては、この書籍をご参照ください。
SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)
- 作者:
- 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本
このDVDブックの中には数多くの「ハイニー」という、膝を高く上げる動作、いわゆる“もも上げトレーニング”がたくさんドリルとして登場しているが、著者はあくまで「股関節の可動域を広げるためにやらせる」という表現を使用しており、「脚が速くなるために」やらせているわけではないとコメントされていた。ナルホド
さてでは、私が息子の脚を速くするためにやらせた方法を紹介してみる。
まずは、息子にイメージさせたのは、「リレーで使うバトンを、“真っ直ぐ”落した時に、“真っ直ぐ”に跳ね返るように走る」という感覚の持ち方である。
実際、プラスチックの円筒状のモノを物置から探し出し、駐車場のアスファルトの上で跳ねる様子を実演して見せて、息子に印象付けた。
要は、走る時のフォーム、姿勢を真っ直ぐする、ということなのだと想うのだが、それを実現するために、本書に紹介されている「白樺のポーズ」というものを練習前に必ずやらせた。やりかたは
①かかとをつけて、できるだけつま先を開いてお尻にギュッと引き締めるように力を入れて真っ直ぐに立つ。
②両腕で大きな木を抱くような姿勢を作る。
③手を元に戻し、つま先も元に戻す。
④頭の上から糸で吊り下げられている様にすっと背筋を伸ばす。
この体操の意味は、人間の背骨はS字に湾曲しているものだから、普通に直立しただけだと骨盤が前傾したままであるから、垂直に立てるためにやるのだそうだ。
前回までは、骨盤が「後傾」することはいけないと散々指摘してきたのだが、同じように「前傾」し過ぎも良くない、ということなのだろう。骨盤の傾きは、身体の「軸」に対して同じ方向に「立って」いなければならない、と、自分では解釈している。骨盤が、「軸」に対して前傾しても後傾しても、身体の軸がぶれてしまう、という事ではなかろうか。
これはなにか、ゆる体操の軸を作るトレーニングにも通ずるものを感じる。ゆる体操でも、頭の上から糸で吊り下げられているような感覚、という表現を使っていたと想うが、どのようなスポーツでも、やはり、「軸」を確立しておく、ということは非常に重要なポイントなのだろう。
さて、“フォーム”ができたとして、ポンピュンランの実践であるが、まず、私がしたのは
【重心を走りたい方向にずらしていく感覚を掴ませる】ことでありました。
そのために、盗塁する時、リードしてピッチャーを伺うような姿勢を息子に取らせ、背中側にしゃがみ右手の平で息子の右ひざを軽く押さえる。そして、その手の平を右膝で押し続けるようにしながらスタートを切らせる練習を繰り返させた。
盗塁のヘタな子のスタートを良く観ると、ファースト寄りの脚(左脚)に力を入れ過ぎてしまい、ズルッと地面を削るように踏ん張ってしまう。ので、身体の位置はそこに残ったままで上体がおったってしまい、「よっこらせっ」とでもいうような感じで動きだす。これでは加速力も得られず、おそらく二歩分は損をしているはずである。
プロ野球選手の盗塁を観ていると、頭の高さの位置はそのままで、身体を深く前傾させ、糸にでも引っ張られているかのような鋭いスタートを切っている。スタートする時、頭の位置を出来るだけ低く保ったままスタートさせるのは重要である。
が、頭を低く保たせたいからと、背中側からバットなどを頭の高さにかざしてやらせたりする(頭を浮かすとバットに当たる)と、バットを避けるように腰で身体をガクッと折り曲げて、首をすくめるような、いかり肩の様な、なんともへんてこりんな“前かがみ”姿勢でスタートしようとする子も出てしまうので、これはやらない方が賢明である。
膝を抑えてスタートさせると、後ろ足でけっぱることもなく、上体も浮かず、きれいなフォームでできるようになるのでお試しあれ。ただ、なかには膝だけ無理に出そうとして、頭が後ろにそっくりかえり「真空飛び膝蹴り」のようにやってしまうような極端な子もいるのでご注意あれ^^; まぁ、そうすると二歩目が続かないけどね。
そうして、“重心を移動させることによりスタートする”という感覚を掴ませた後、川本先生がネーミングしたところの「膝ペッチン」というドリルをやらせた。
これは、選手の進行方向の膝の高さに手のひらを置き、その手の平を膝蹴りするようにスタートさせる、という練習であるが、私の場合は、先程と同じように盗塁する様な姿勢を取らせ、今度は前面にしゃがみ、左手のひらをちょうどスタートを切って一歩めの左足が着地するあたりの膝の高さに置いておき、それを膝蹴りするようにダッシュさせた。ここでも注意したいのが、膝だけ出して頭をそっくり返らせるような、「イナバウアー」フォームにならないように気をつけさせることである。
そして私は、そのまま「グイ・グイ・グイ・グイ」と4歩分だけ「擬態語」を言わせながらダッシュスタートの練習を繰り返させたのであります。イメージとしては、「次々と膝蹴りを出すように」という表現で指示をだしてやらせました。ウチの息子はこの「次々と膝蹴り」という表現が理解しやすかったようで、この練習を始めてからダイヤモンド一周のタイムが劇的に向上し始めたようであります。これらの練習は「ピュン」と前の脚を後ろ足が追い越す、というドリルにつながっていくわけですが、さて次は、ポンピュン走法にてもうひとつ重要な意識、【弾むように走る】つまり、「ポン」というイメージをどう掴ませるか。
川本先生の編み出したイメージさせるための表現方法に、「空き缶つぶし」というネーミングがありますが、これは、前に出した足の裏を、自分の後方につくように落とすのではなく、できるだけ前に出た膝の「真下」に「真っ直ぐ」落す、というイメージを掴ませるためには最適な表現だと想う。
とはいえ、空き缶がそんなにあるわけないし、だいたい実際にやらせたら空き缶を踏み外して捻挫しかねないので、はてどうするかと考えた時に見つけたのが、駐車場に良くある「車止め」
高さ・奥行きが15センチぐらいで、横幅が50センチくらいでしょうか? 私はこれを“空き缶”に見立てて、これを真っ直ぐ「踏みつぶす」ようにポーンと前に跳ねるようなダッシュトレーニングをさせました。やり方は
①車止めの後方、直立姿勢でちょうど、膝を90度曲げて前に出した時、その足の裏の真下に車止めがくるように立つ。
②どちらかの脚を膝を直角に曲げて前に出し、車止めを、勢いよく足裏で叩きつけるようにしながら前方に片足ジャンプし、空中で足を入れ替えるようにする。
③着地する時から、2スキップ(右足・左足とほぼ同時に着地し、タ・ターン、タ・ターン、というリズムでスキップする)に入り、そのまま加速していき駐車場のハジまでダッシュさせる。
という練習を繰り返しました。私が息子にやらせたメニューはこんなものでありました。
この二種類のメニューを続けただけで、同級生6名の中で5番目の足の速さだった息子が、お兄ちゃんが野球部に入った関係で任された指導者歴7年の中で、卒団部員延べ30名の中でチーム歴代2位のダイヤモンド一周タイム(16.30秒)の記録を出すことができたのであります。
川本先生がお出しになっている3冊の著作の中では、もっといろいろなドリルが紹介されているので、お子さんによってはもっと効果的なやり方もあると想います。
先に紹介したDVDブック
2時間で足が速くなる!―日本記録を量産する新走法 ポン・ピュン・ランの秘密
- 作者: 川本 和久
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/02/29
- メディア: 単行本
その他に
福島大学陸上部の「速い走り」が身につく本―あらゆるスポーツに応用できる「川本理論」のすべて
- 作者: 川本 和久
- 出版社/メーカー: マキノ出版
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
最後に紹介した「福島大学陸上部の~」には、福島大学の野球部員も練習モデルとして出場していて、野球の練習にそのまま取り入れられそうなドリルも多数紹介されていたので、この本の方がかえって学童野球を指導している時はすぐにそのまま使えて、大いに参考させていただいた。
ユニックス(UNIX) ヘキサゴンボール・大(レッド) BX75-97
- 出版社/メーカー: ユニックス(UNIX)
- メディア: スポーツ用品
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