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スロットルアシストの危険性 [オートバイ]

 スロットルアシストというものを、初めてツーリングで使ってみた。

 

 
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 高速道路や、信号の少ない見通しの良い郊外の国道を走る時の疲労軽減には、非常に有効である。

 しかし、このスロットルアシストのせいで、危うく事故りかけたのもまぎれもない事実であった。
 とは言っても、悪いのは自分であり、スロットルアシストのせいにするのはお門違いもはなはだしい、とSRから怒られた。

 まぁ、SRがへそを曲げた顛末は後でお話するが、まず、何が起こったのか。

 馬鹿な私は、もっと楽に高速クルーズするために、スロットルアシストの角度をぐいっと上げて使用していたのだ。

 普段は手首に当たらないようにセットした状態で、スロットルアシストを使ってアクセルを開こうとすると、かなり手首を立てて、手首の手のひら側で押し続けるような形になるわけだが、腱鞘炎気味の私の手首では、この角度で押そうとすると、少し痛みが走る時がある。

 

 
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 ので、その角度を少しでも緩くしようと、スロットルアシストの先をより空の方へ向けるようにくいっと上げて使ったのである。

 

 
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 高速道路を走っている時は、まことに楽ちんである。

 握力を使わずに、手首で“押す”というよりも、テーブルのフチに手首を「“乗っけて”軽く体重を“支える”」、という感覚に近いのだが、腕の重さを使うような要領で、時速90㎞を保って走り続けられる。

 想わず、とっても楽だ!と感動したが、更にうれしかったのが、料金所である。

 料金所でバイクを止め、ポケットやタンクバックから通行券を取りだし、係員さんへ渡して…なんて作業していると、後続車両が多い時は長蛇の列ができあがってしまって、非常に場都合が悪い。

 ので、少しでもゲート内でのアクションの数を減らそうと、料金所に入る前にバイクを路肩に一度停車させ、通行券だけでも用意しておき、すぐ係員さんへ渡せるようにしておきたい。

 が、アクセルを開きながら高速通行券を持ち続けるのは意外とやりにくい。

 左手は、クラッチを操作しなければならないから、とても通行券を持つ器用な真似は私にはできない。落としそうになる。係員さんへ渡す前にゲート内でポロリと落としたりしたら、ますます後続車への迷惑となるあたふたが発生してしまう。

 スロットルアシストがあると、右手の指で通行券をつまみながら、手首の内側で押すだけでアクセルを動かせるので、料金所を動く間だけならギアは1速に突っ込んでおくだけで間に合うわけで、これは助かった。

 いまや、料金もクレジットカードで支払えるので、スロットルアシストがあれば通行券どころかクレカも一緒に片手でつまんで移動して、係員さんへ同時に渡すこともできる。

 料金を払い終わって領収書とクレカを戻されても、そこでニュートラルにしてわたわたとポケットの財布を出してしまってそれからまた1速入れて動かして…なんて、後続車両が2,3台溜まるぐらい分の時間を作りだすような動作を重ねる必要は無く、通行券の代わりに今度はカードと領収書を指で挟んで受け取り、手首でスロットルアシストを押すことにより、たったツーモーションでバイクをするすると動かせる。

 そうしたら、のんびり路肩に停めて、後続車両の邪魔になるとかを気にせずに、カードと領収書をゆっくりと財布にしまい込めるのである。

 神経質な私は、料金を払っている間、バックミラー越しに後続車両が次々と溜まっていく様が耐えられないのだ。

 これは、精神的負担を軽減させる意味でも実に重宝した。

 …ETC使えば済む話じゃん、と、身も蓋も無いことは言わないように。

 通勤や通学で使うわけでは無く、営業で週に3回以上高速使うとかでもなく、年に数回のツーリングのために高い金をかけてアダプターを取り付けてカードまで改めて作ろうとか、な~んか億劫に感じるおじさんもいるのだ(つけてしまえば「こんなに楽なものだったのか!!もっと早くつければよかった!」とかのたまうのもわかりきってはいるのだが…)。それに今や料金所でクレジットカードも使えるということを知って、小銭をジャラジャラ受け取らなくても良くなったので、余計、わざわざETCをセットするまでもないか、なぁ~?…、なぁーんて面倒くさがりな気分が強まってしまったのだ。SRは、なんかサイドカバーを専用の大きめのやつに換えないとつけられないとか言われたし…。もっこり膨らんじゃうようなスタイルになるの、恥ずかしい…

 当然、自家用車でETCカード使ってはいるけれど、私と同じく平日は滅多に使わないカミさんと共有なので、土日挟んで4,5日もツーリングで持ちだすのはちと気が引けるし…。カミさんも、使うとしたら土日ぐらいだから、たま~に被ると、使えなかった事を家に帰ってからネチネチ愚痴られるのが恐ろしいのである…。

 もう一枚自分で作れよ!なんて、とても言い返せないのである。

 3倍返しで“何か”が返ってくる。くわばらくわばら…

 意味不明の七面倒くさい手続きやら、片道100㎞以上走れとか日帰り限定だとかなんとかの決まりを履行しなくても、シンプルに、バイクで土日ETCカードを使用したら高速道路料金が半額になると決定していただけたならば、バイク用に即、取り付けるんですがねぇ、道路公団さん。

 ところで、そんな“便利なスロットルアシスト”で、いったいなにがあったのか

 話を戻しましょう。

 弘前城公園桜祭り鑑賞ツーリングの帰り道。仙台から高速に乗り、自宅からの最寄りインターチェンジで高速を降りようとして、左折してランプウェイに侵入したわけだが、その時、馬鹿な私は、スロットルアシストの先を普段より思いっきり上に向けていたのを忘れていたのだ。

 速度を落とそうとブレーキに指をかけた時、多少手首がくびれてしまう。それで、スロットルアシストに引っかかり、ぐいっと押し下げるような形になってしまったのだ!

 減速しようとしたのに、加速してしまった!

 オートマチック車で、ご老人が良くやってしまうアクセルとブレーキを踏み間違えるような大失態でありました~っ!!

 バンクさせようとしたSR君は、その力でぐいっと立ち上がろうとする!

 侵入に備えて減速していたとはいえ、その瞬間あたり、おそらく時速60㎞以上は出ていたと思う。

 トレースしようとイメージしていたラインがぐわわっと膨らみ、あっという間にガードレールが迫る!

 焦ってしまって、頭が真っ白パニック状態に陥ってしまった私は、ブレーキを更に握ってしまって、ますますスロットルアシストが下がる、ので、あわれSR君は、ブレーキとアクセルを同時に効かされ、ハイサイドを起こしたように車体をグラグラ揺すりはじめた。

 次の瞬間、スロットルアシストを押しているのだ!ということに気がつき、あわてて右手をパッと開くが(当然、フロントブレーキも手放してしまった…と思う、覚えていない)、パニックの私、愚かにも反射でクラッチを切ってしまった(おそらく、後からの想像)、ので、たぶんエンジンブレーキも効かない状態になり、すぴょーんと更にすっ飛ぶようにガードレールに吸い寄せられていくぅぅ~~!!(ここいらへんは、死に際に観ると言われる、走馬燈レベルのイメージ回想です)

 ここでバンクさせてたら、完全にすっころんでいたはず。

 ここからが私の『神対応』!

 その時は全くの無意識だが、後輪ブレーキをけっとばしていたらしい。

 アンチロックがついていないSRの後輪ドラムブレーキは完全ロック。

 後輪がすべり、奇跡的にガードレールとSRが平行になってくれた。

 後は、“根性”

 まさしく体を張って、SRを守ったのである。

 ガードレールとSRの間に体を入れ、挟まれた。

 リアブレーキを踏んづけていた右足をがっと広げて、膝が派手に音を立ててガードレールにぶち当たったのは記憶にある。

 振り返ると、後輪につながるアスファルトに50センチぐらい(おそらく?の長さ)のスキッドマークが着いていた…

 文章で説明すると物語だけど、たぶん、1コンマ数秒内での瞬間の出来事。2秒は越していないはず。

 GPライダーがサーキットでレース中コーナーで取る姿勢の、ハングオフをコーナー内側でなく逆側にするようなかっこうで(究極のリーンアウト??)SRとガードレールに挟まれた状態で固まっていた私、次の瞬間状況を理解して、鳥肌がたちました。バリバリ伝説のグンちゃん走りみたい…

 後続車の白いワンボックスのドライバーのあんちゃんが、目をひんむいて私を見ながら大きく迂回するように通り過ぎて行ったのが脳裏に焼き付いて忘れられない……あぁ、恥ずかしい…お騒がせして、すみません……

 ジーンズの膝はずるむけて真っ白。が、膝ガードを内側に装着していたのでプレート型に内出血してあざができた程度で済んだ。していなかったら、骨がいっていたかも…ぞ~っ

 あとは、ジャケットの裾、肘、レッグホルダーが真っ白に擦れて、後ろに積んでいた防水バックの角も擦れて穴があいた…

 

 
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 ↑写真だとわかりにくいけど、実際観るとけっこうてかって目立って恥ずかしい。南〇部品さんで、半額セールで買ったけど結構高かったんだよ~。上代では、絶対買わない…。

 おおよそ、濡れぞうきんで拭いたら白い粉みたいなガードレールの塗料の粉は取れたのだが、ジーンズは、ダメージデニムだと主張するには無理が出るほど(片側の膝だけだし)、バイク音痴のカミさんでも事故ったのかとさすがに疑われてしまうレベルの破け方だったので、ばれて下手な詮索を受けないように、物置でバッグに入っていた予備ズボンに履き替えて、ビニールに突っ込んですぐ捨てちゃった。

 それほどの衝撃だったというに、しかし、まさしく奇跡的に、SRは無傷だったのだっ!!

 SRとガードレールに挟まれながらも、クラッチを握りしめており、エンジンはストールしておらずドコドコ動いていたので、無意識にクラッチきっちゃったなぁ、という事に気付いたわけです。

 ギアがおそらく5速のままで、なかなか1速まで落ちてくれなかったので、そこのガードレールの脇で数台の後続車から避けられるように減速されてジロジロ眺められていたのが苦痛だった…。ふつう、こんなところで停まってないもんなぁー。

 マフラーは当たったかなぁ、と覚悟して、料金所の前で停車し調べたが、おそらく、ガードレールの下側に入ったのだろう、これまた無傷。

 どこをどうみても、全く傷がつかなかったのだ。奇跡だぁ~。

 勘違いの私、SRに、「おらぁ、俺様の神業を見たか!!体を張っておまえを守ってやったんだぞ、感謝しやがれ!」と、タンクをぺシぺシとひっぱたいてしまった。

 これでへそを曲げたSR君、料金所を出てまだ激しく鼓動している心拍数を下げて落ち着いてから出発しようと、路肩でエンジン停めて深呼吸して、よしいくぞう津軽平野は雪景色~とか唄いながら無理におちゃらけて自分をリラックスさせ、気を取り直してキックしたのに、今度はエンジンがかからなくなってしもうた。

 3回、4回…5回、…、ん、なんだ、かからねぇぞ。どうした。こら。

 7回、8回… おい、チミには傷一つついてないんだから、行こうよ、もう。ねえ。

 10回、12回……、すみません、私が悪かったんです、ごめんなさい。だから、かかって?

 15回、20回…… サーっ(血の気が引いていく音。おかげで、キック運動で心拍数は上がっていく一方なのに、ひどく冷静になれました。わざわざおちゃらけた意味、ないじゃん…)

 さすがにこれはやばい、おかしい??プラグ被ったのか?

 しばらく放置してからキック再開しても、SRのエンジン、沈黙維持…。

 スマホ取り出し、「赤い男爵」さんへ緊急通報。「ヘルプ~っ」

 店長が受けてくれたが、ガソリンは入っているかだの、キルスイッチを動かしてないかだの、頼むよ、30年ぶりのリターンライダーだからって、初心者じゃないんだから…とは思ったが、まぁ、そういう確認をしなければならない社内規定なんだろう、大人しく答えていたが、すぐにメカニック君につなげてくれた。

 腕の良い(と私は思っている、エストレアのトラブル時に担当してくれた彼)メカニック君、「魔法の呪文」を教えてくれて、その通りにやってみたらSR、嘘みたいに一発で点火しやがった!

 『エンジンキーをオフにしてから、アクセルを全開にしつつ、デコンプレバーを引いて、キック4,5回、アクセルを戻し、いつもの要領でデコンプレバーを引きながらキックインジケーターを出し、キーをオンにして、はい、キック!』

 というおまじない通りにやってみたら、ドルルるぅ~ん!と掛かりましたがな…

 後から教えてもらったが、取扱説明書にしっかり「エンジンがかかりにくい時の対処法」として載ってるわいな。

 やっぱ、取説は良く読んどかないといかんなぁ…。

 一通りは一度目を通しておいたんだがな。

 国見サービスエリアで給油してから150キロ以上一気に走り続けてきたのに急に停車したりしてたから、熱がこもっちゃったのかな?アクセルを開いてキックしてやると、強制的に混合気が送りこまれてシリンダー内が冷めるとかなんとか言われたような聞いたような気がするが、専門的なことはちんぷんかんぷんだ。とにかく、重ねて焦りました。

 

 大変便利なスロットルアシスト。

 しかし、ついうっかりミスが便利なモノを「凶器」に変える。

 まったく、独り相撲的なトラブルでしたけど…

 思いもよらないアクシデントにつながる場合があるかもしれない、という意識をもって道具と言うものは使っていかないといけないのだ…、と、この歳になって改めて思い知らされた出来事でございましたです…。はい。

 しかし、このような神対応ができたのは、お袋さんのご加護があったからでは、と言う気がしている(縁起担ぎ)。

 仙台のオヤジのアパートによる時は、いつも仏壇に線香あげては来るのだが、今回のツーリング途中で寄ったときは、なぜか、ちゃんとしっかり墓参りをしたくなってしまったのだ。

 ちと遠回りになるのでいつもは仏壇の線香あげだけで勘弁してもらうのだが、今回ばかりはなぜか、墓まで行って手を合わせておきたい気持ちがとても強くなったのだ。

 ので、墓所に寄り、手を合わせ、衰えの目立つオヤジの状態を報告しつつ、「まぁ、まだ生きてそうだから、もうちょい待っときなよ。どうせ嫌でもそのうちそっち行くんだからさ。ところで、俺またバイク乗り始めたよ、高校生の頃嫌な顔してたからあんまし聴きたくもないだろうけど、老化防止のためでもあるからさ、事故らないように、見守ってちょんまげ~」と、照れ隠ししつつご報告しておいたのだ。

 実際、守ってもらえたと感じている。

 だって、ホンマ、SRに全く傷がつかなかった事が、絶対不思議にしか想えない奇跡的対応ができてしまったのだ(買ったばかりのSRを傷つけてなるものか、という、私の“執念”もあったのも事実ですが…(^^;)。

 あれは、お袋さんの守護霊力だと信じておるのであります。

 やはり、ご先祖様の霊廟は定期的に訪れてお詣りせねばいけませんぞ。うむ。

 

 それでは皆様も、スロットルアシスト、お使いになるときは十分気を付けてください~。

 ホンマ、まじやばかったよ……|д゚)

 再見!

 

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