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変化球を投げることによる、肘・肩へのストレス [投球論]

 多くのプロ野球ピッチャーが決め球として使う、フォークボールを投げる時、投手の利き腕の前腕部分の筋肉は、ストレートを投げる時に比べると1.4倍も緊張しているそうだ。

 つまり、フォークボールを投げる時は、ふつーにストレートを投げる時より、140%のストレスが投手の体にかかっているぞ、という事になるわけか?

 とすると、歴代のフォークボール・ピッチャーが、のきなみ肘・肩の手術を受けているわけがわかる気がする。

 古くは、マサカリ投法の村田兆治、トルネード野茂英雄、大魔神佐々木一浩…

 だからといって、その決め球であるフォークボールを封印していたら、あれだけの活躍ができたのだろうか。

 誰に聞いても、答えは“否”であろう。

 健康・健全な肉体を保とうとするか、名誉と栄光を選ぶのか。

 だいたい、ふつーにストレート投げてたって、肘壊すピッチャーもいるしなぁ。

 う~ん…

 

 特訓、という響きは、ちょっと、いいね。うん。

 特別な訓練、によって、一皮むけて一流選手に成長できた、という逸話は、枚挙にいとまがない。

 が、その影で、どのくらいの選手が怪我や故障でさみしく球界を去るはめになっていたのだろう。

 おそらく、1人の名選手が生まれると同時に10人以上の引退選手が発生しているハズだ。

 光が明るければ明るいほど、影は暗く濃く、そして広くなっていくものではありますまいか。

 じゃぁ、怪我や故障をしないようにと、大事大事で安全パイで練習していても、成長せず全くうだつがあがらず結局、来季の契約はキミとは結びませんよ、という肩叩きにあってしまうようになるはず。これまた、プロの世界では生き残れない。

 さて、どうする。

 クビになるぐらいなら、故障覚悟で無茶苦茶な努力を積み、成長できたらラッキー、つぶれたらそれまでよ、という気分にもなるだろう。

 変化球を多投するのも、これに近いような感覚が私にはある。

 投げれば、肘肩にストレスがかかって肘を痛めるかもしれない、が、今時の野球は、ストレートとチェンジアップだけでバッターを打ち取り続けられるような甘い世界ではないわけで、投げなければ打たれてしまうのだから、投げるしかありません。

 投げなければいけないものなら、なるべく肘・肩に負担の少ない、なおかつ有効な変化球というものを二つ三つと身につけるように努めなければならない。

 そうすれば、肘肩に負担がかかってくるような変化球の“決め球”は、1イニングに1度ないし2度、あるかないかのここぞという時にだけ投げれば良いわけである。

 それでは、肘・肩に負担の少ない変化球とは、なんなのだろう。

 代表的なのは、ツーシームだろうか。縫い目の角度を変えて握るだけだから、これで変化してくれればこれほどありがたい事はない。一時期日ハムにいたダルビッシュ有投手が「ワンシーム」なる変化球を投げ騒がれていたが、あれはかなりのスピードのストレートを投げられないと効果が無さそうだが、ツーシームであれば、けっこう、カットボール気味に曲がったり、シュートしたりする変化をするようだ。

 ちなみに、ウチの次男は中学校でエースであったが、「ツーシーム」は配球の組み立て上“かなり使える”変化球だったそうで、配球の“柱”と言っても良いものだったらしく、ヒットを打たれた覚えが無い、とまで言っていた(ホントかよ…^^;)。

 ボールを良く受けてやっていたのでわかるが、バッターの手元でボール1個半ぐらいするするっと、シュートする(ウチの次男は右投げ)。右バッターならつまらせて内野ゴロ、左バッターならアウトコースへ逃がしてファールさせてカウントを稼ぐ、という感じで使っていたようだ。

 後、肩肘に負担の少ない変化球となると、スプリットフィンガーファストボールあたりかな。フォークほど指を開かず投げるので手首や前腕の筋肉の緊張はさほどないらしい。ので、次男にも投げさせようと想ったのだが、どうもこれはうまくいかなかったようだ。

 普通、SFF(スプリットフィンガーファストボール)は、ストレートの軌道からするっとボール2,3個分落ちる(ほぼストレートのスピードのまま、ちょうど、フォークの落差の半分ぐらい)そうだが、ウチの次男に投げさせると、逆に普通のストレートより伸びてくるような感じになってしまった(^_^;)ゞ

 じゃぁ、そのままそれでいつも投げていればよさそうだが、時折カットボール気味に曲がったり、たま~に沈んでしまうので、コントロールができない。ので、中学時代は習得をあきらめたのである。

 これから高校野球、硬式球になるので、また、挑戦させてみましょう。

 ただ、カットボールと同様に、SFFもある程度ストレートに威力が無いと効果の薄い変化球なのかもしれない、けれども…(-_-;)

 カーブ、というと、今時の子は「古臭い」というイメージになってしまうようだが、フォークやスライダーなど、「ストレート系変化球」全盛時代、私は、かえって非常に有効なボールにこれからなってくるんじゃなかろうか、と想っているのだが?

 ピッチングマシンでガンガン時速150㌔以上の速球を打ってバッティング練習しているバッターには、かえって、スローカーブの様に「ドロ~ン」と大きく曲がってくる軌道はとっても打ちにくくなるんじゃなかろうか。

 確かに、ストレートを待っていてスルッと逃げるように曲がるスライダーや、ストンと落ちるフォークボールは三振が取れるのかもしれないが、中途半端なスピードのピッチャーだと、ミート重視のヒット狙いの打者相手では、カットされて球数が増えてしまうような気がする。引っ掛けさせて、内野ゴロに「1球で」仕留められるのが、ピッチャーとしては理想でありましょう。

 こういう時には、タイミングを大きく外す事の出来るスローカーブなどは、かえって引っ掛けさせやすく、打ち取りやすいんじゃないのかな、と想うんだけどなぁ? 

 大魔神佐々木投手は、ブルペンでその日一番最初の投球時にカーブを投げ、腕の振りを確認していたというし、確か工藤投手だと覚えているが、調子が悪い時はカーブを投げて腕の振りを良くする、というか、スナップをきかせる感覚を想いだす、というような事をおっしゃっていたと記憶する。

 つまり、カーブの“捻り”方は、うまくするとストレートにも良い影響を与えるのか??

 これは、私は全く実感できないレベルなので、まぁ、そういう考え方もあるようだと次男には教えて、自分で感じさせようと想っている。

 はてそれでは、肘、肩に負担のかかる変化球とは、なんなのか? 

 フォークボールについては冒頭に言及したので割愛するが、その他で良く言われるのが、スライダーは肘が下がりやすい、という話。

 たぶん、自分で挑戦してみて、息子達から「肘下がってるぜ」と指摘を受けるのがスライダーなので、やはりそうなんだろう。それもいわゆる「横スラ」と呼ばれるスライダーの方が、ボールの横面をピッと“切る”ように投げるイメージなので、なおさらだろう。

 そういう投げ方をしようとすると、コントロールが難しくなる、ので、ついついリリースポイントを眼の近くに持ってきたくなる(ダーツ投げの要領でしょう)ので、だんだんと肘が下がってきてしまい、つまり、肘に負担をかけてしまう、という事になるのでありましょうか?

 ただ、私は、「横スラ」「縦スラ」という区別が良く分からない。おそらく、良く落ちるほうがいわゆる「縦スラ」というものなのだろうが、「横スラ」と呼ばれるピッチャーでも、けっこう落ちている様な気がするんだが?おそらくこれは、実際バッターボックスに立って、打ってみないことにはわからない感覚なんだろう。

 つーか、カーブなのかスライダーなのかも良くわからん時もあるんだが…(-_-;)ゞ

 たぶん、右バッターが、自分より遠くの方へするするっと逃げていくように感じるのが横スラ、で、すっと「視界から消える」ように感じるのが、縦スラ、んで、一回、ストライクゾーンの外側に出てからまた入ってくるようなボールがカーブ、という捉え方で良いんかな?

 一頃、松坂大輔投手のスライダーが「ジャイロボール」なのではないか、と騒がれたが、ハイスピードカメラで見ると、確かにほぼジャイロ回転しながら“スライダー”している。

 私は、スライダーって、真横に回転しているボールなんかなぁ、と想っていたのだが、全然違ってたようだ。

 ジャイロボールの様に「きりもみ」回転しながら(銃弾のように)、実はその回転軸が多少ずれていることによって、するするっと利き手の反対側に逃げていくような動きになるのが実はスライダーの回転らしい? 

 ただ、投げるほうとしては、真横回転がつく様なイメージで投げているんじゃなかろうか?だからボールの側面を「カット」するようなリリースしたくなり、結果、手の甲が立つようなイメージで腕を振るため、コントロールに自信のないピッチャーは、知らず知らず肘が下がりやすくなってしまう、という傾向になるんじゃないのかなぁ?まぁ、良くわからん。

 変化球の指導書はけっこう出ているけど、ちょっと趣きの違ったテクニックを紹介してくれていたのが、この本

切れ味バツグン!! 変化球習得メソッド

切れ味バツグン!! 変化球習得メソッド

  • 作者: 手塚 一志
  • 出版社/メーカー: 高橋書店
  • 発売日: 2009/07/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 また手塚一志?と言われそうでありますが、この本の中で紹介されている変化球の投げ方のテクニックはけっこう、即効性がありましたな。DVD付でわかりやすいし。

 この本の中で一番「目からウロコなアドバイス」だったのが、『98%ストレートのつもりで投げよ』というキーワード。

 今まで、息子をキャッチャーに自分も変化球にチャレンジしてきたのだが、これがまた、嘲笑の嵐(^_^;)ゞ

 「パパ、そりゃ、アーム投げだよ!」

 「ヒジ思いっ切り下がってるぜ!」

 「フォームでバレバレ、全然ストレートの時とフォームが違う!!」

 「だいたい、ストライク入らねえぇーっ、つーか曲がってねーし(笑)」

 …いやぁ、さんざんな言われよう。

 この本を読んだ時「そうか、あくまで、ストレートのつもりで投げないと、フォームで変化球だってバレたら元も子も無いんだよなぁ」と当たり前のことに気づき、それから、自分ではストレート、ストレートと呟きながら投げるようにしたら、かえってその方がしっかりと変化してくれることに気づいたのである。

 この本の中では、スライダー習得からチャレンジしてみなさい、と書いてあり、腕の振りはストレートのままで、手首の角度だけ少し変えてみろ、ストレートよりも小指側をほんのちょっとキャッチャーの方に傾けて、後は【98%ストレート】のつもりで腕を振って投げなさい、というので、そのまま実行してみたら、これがまたおもしろいようにコントロール良く、右バッターのアウトコース低めに逃げていくように決まる。口の悪い息子達も、「たまたま、偶然、偶然」と、ある意味認めざるを得ない変化球になった。

 その次はカーブに挑戦、本の中では、「手の甲をキャッチャーに向けるように」と書いてあったので、先程のスライダーの投げ方を発展させて、最初は小指側を傾けるようにしていたのを、徐々に徐々に手の甲を返していくように、自分の手の甲をキャッチャーに見せてやる、というイメージで、そのかわり、腕の振りはあくまでストレート、ストレート、と呪文を掛けながら試してみたら、これがまたグニャッと曲がる! 嘘みたい(^_^;)

 ただこれは、あんまり曲がり過ぎて右バッターのアウトコース、ベースの距離左バッターボックス内に落ちるようにショートバウンドしてしまうような感じになってしまうので、ストレートを右バッターの内角高めに決めてやる、というイメージで、腕の振りはストレート、ストレートと呪文を唱えて投げ込むとアウトコース低目に決まってくれた。とはいえ、コントロールはスライダーよりも難しい。

 なるほど、多くのピッチャーがカーブよりもスライダーに頼ろうとするのは、“コントロール”の問題なのかもしれない。カーブは、コントロールしにくいのだ。

 ただ、「カーブを投げるぞカーブを投げるぞ」と投げていた時は、正直、どこに飛んでいくかわからないようなコントロールだったのが、ストレート、ストレートと呪文を唱えて変化球を投げてやると、見違えるようにコントロールができるようになった。そうか、基本の「腕の振り」はあくまで「ストレート」なのだ!ストレートの軌道を「基準に」腕を振っていかないと、コントロール調整が効かないのであろう。後は投げ込んで投げ込んで、変化球を投げた時の軌道の“ズレ”を、身体で覚え込んでいくしかないのだろう。

 本当は、カーブの前にカットボールを習得しなさい、と書いてあったのだが、う~む、どうも、「カットボール」は、かえってカーブよりも投げにくかった。「カットしようと」して、ちょっと力が入り過ぎてしまうのか、全くコントロールできないし、だいたい、スライダーよりも曲がってくれない。なんでどうして?わからない。

 というかやはり、カットボールはある程度、ストレートが速くないと投げられない変化球なんじゃあるまいか??

 なんだか、私はカーブの方がコントロールしやすかった。まぁ、これは個人差があるだろうから、色々試してみて、使える変化球に育ててやれば良いのでしょう。

 カーブの方がコントロールしやすかった、なんて偉そうに言ってしまったが、私のレベルでは3球に1球、ストライクになれば「奇跡の様なコントロールだ!」という話ですので、念のため(^_^;)ゞ

 

 それから、変化球指導本の中ではおそらく手塚一志氏以外では初めて「ジャイロボール」を真剣に取り上げたのがこの本

DVD 変化球完全マスター

DVD 変化球完全マスター

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 西東社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本

 ただし、責任監修者の鹿取氏は、ジャイロボールはあくまで「偶然の産物」と一言でばっさりと切り捨てていらっしゃいましたので、まぁ、ジャイロボールに対して、マジな気持ちでこの本を購入されることのないように。

 コーチングクリニックだったと思ったが、変化球の特集をした時、真面目にジャイロボールを研究されていたが、確かに姫野龍一氏がその書籍

魔球をつくる―究極の変化球を求めて (岩波科学ライブラリー)

魔球をつくる―究極の変化球を求めて (岩波科学ライブラリー)

  • 作者: 姫野 龍太郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/07/21
  • メディア: 単行本

の中でおっしゃっているように、進行方向に対してキリモミ回転、つまり、ジャイロ回転を正確にできるとすると、空気抵抗は普通にフォーシームで投げる場合に比べると30%(だったかな?)ぐらい減少するそうだ。

 が、その回転軸が、進行方向に対して確かたったの2度(0.2度だったかなぁ?書いてあるハズのコーチングクリニックという雑誌のバックナンバーが見当たらない…)以上ずれると、逆に空気抵抗が増加してしまい、変化してしまう、というような内容の話が載っていた。

 普通の人間は、毎度毎度正確にピッチリと進行方向に対してジャイロ回転させるボールを投げられるわけはなく、つまり、アニメ「メジャー」のゴロー君が投げるジャイロボールはやはり漫画のお話、なのであった。

 ということで、たぶんおそらく、手塚一志氏には悪いが、私は「ジャイロボール」について今後真剣に考えることはしないでありましょう^^;

 さて、それ以外の変化球は…

 思いつくままあげてみると

 ナックル、パームボールの“揺れる系”の変化球。

 まぁ… これは全く、“特殊”な投げ方だから、チト、パスかな?

 シンカー、とは、沈むシュート、と考えれば良いのか。

 スクリューボールは左投げ投手のシンカーの専門用語らしい。

 それから、シュート、という変化球は、野村監督系の指導者の方々は「非常に有効な変化球である」と力説されるのであるが、ツーシームが勝手にシュートしてくれるのではなく、「専門変化球」として「シュート」を投げる場合、どんな変化をするのだろう。

 一度、往年の大洋ホエールズエース、平松正次氏の「カミソリシュート」ばりのシュートを投げるピッチャーの球を受けてみたいものである。そして、その「すごさ」を実感してみたいものである。

 とまあ、思いつくままに「変化球」について論じてみたが、息子達も球威で勝負するタイプのピッチャーでは無いので、これからもしピッチャーができるとすれば、そのピッチングの中で「変化球」のウェイトは非常に大きくなってくるはず。

 変化球を投げることで無用なストレスを肩・ヒジに与えないようにする為には、「98%ストレートで」という“呪文”は、非常に大切な意識なのではないかな、と想い、息子達には注意を与えている毎日でございますです。というか、素人は、「変化球を投げよう投げよう」として、必要以上に手首を捻ったり返したり強くはさんだりとし過ぎるので、かえって曲がってくれず、当然、コントロールもできない、結果、肩肘のストレスが増え、球数も増え、プレッシャーもストレスも増えて悪循環が重なり、そんでもって野球肘なんて症状に苦しめられる結末になってしまうのかもしれません。

 学童野球を指導していた時、入部したての小学生とキャッチボールしてると、ナチュラルジャイロボールを投げる子や、ナチュラルシュート、ナチュラルスライダーを投げ込んでくる子ばっかりだったが、彼らは別に「変化球」をわざと投げようとしていたわけではない。

 しっかりとしたストレートを投げようとして腕を振っているのに、変化しているのだ。つまり、ほんのちょっとした握りの「ズレ」だけで、曲がっちゃってるハズなのだ。

 【変化球】なんて、そんな程度のモノなのだ。意識し過ぎて、余計なストレスをヒジに加算してはいけない。

 98%、ストレートで、ストレートで…

 ほんの2%の“変化”だけで、曲がってくれるようにすれば、変化球を多投することによる障害はかなり防げるのではなかろうか。

 うむ。

 それに、カーブだ、フォークだと杓子定規に考えないで、昔の“ヨシボール”とかのように、自分なりの負担の少ない、バッターに打ちにくい“マイ・変化球”を編み出し、勝負する、という方法もあるのだ。その方が、なんか楽しそうだし^^;

 …とはいえ、「変化球の投げ過ぎ」を心配する前に、まずは、「ピッチャー候補生」になることが一番肝要。

 ほれほれ、いくら高校受験だからって、今のうちから走ってないと体力落ちまくるぜぇ、次男君よ。

 でもなぁ、体力落ちないように鍛えてて、高校落ちたらそれこそ元も子もないからなぁ。

 頼むぜ、息子よ。


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