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見落とされがちな、“柔軟”性 [コンディショニング]

 意外と、忘れちゃうんだよね、柔軟性の重要性。

 怪我・故障の少ない身体を目指すなら、正直、一番大事なのが柔軟性でありましょう。

 が、子供って、みんな柔軟体操、嫌がるんだよなぁ。

 今時の子供達って、身体硬いからなぁ。

 まるで、柔軟体操=「シゴキ、いじめ」のとらえ方しかされません。

 お前達のためを思って、心を鬼にしてやらせてるんだよ、股裂き…

 その、訳は…^^;

 

 野球選手の怪我・故障といえば、野球肘・野球肩がよくクローズアップされるが、けっこう、股関節や腰の故障も多いような気がする。あとは、膝、捻挫による足首の痛みかな。

 肘・肩はまぁ、やり過ぎが問題だろうが、股関節や膝などは、柔軟性の欠如からきているケースが多いんじゃなかろうか。

 ただここで注意したいのが、痛い痛いといっても、小学生や中学生の低学年の頃は、「成長にともなう痛み」というモノがある、という事だ。

 いわゆる成長痛、というものだが、今では当たり前のご挨拶のように「成長痛だな」なんておっしゃる指導者の方が多いんだが、自分が小学生の頃って、そんなんあったんかなぁ?

 他のお父さん方に聞いても、「?そういえば、そうだな?気にした事無かったな」という方が多いのだが。

 たぶん、ある程度の痛みは感じていたのだろうが、どっかぶつけたかな、捻ったのかな?程度で、あまり気にしなかった筈だ。

 が、今時の子供は、気にする。

 ちと、まわりが騒ぎすぎてはいないか?

 「大丈夫、大丈夫??」と尋ね過ぎると、そら、子供だから「痛い、痛いよ」と言うだろう。あら、大変! 病院行かなきゃ、レントゲン撮って!」なんて大騒ぎするもんだから、子供の方でも、「この痛みは、もしかしたら大変なんだ!??」なんて“洗脳”されてしまい、ちょっとでも身体のどこかの「違和感」を感じてしまうと、「すわ、一大事!」となってしまうのだ。

 私はこういう時、「楽しい練習」を“仕掛けて”みる。

 ノックを辞めて、フリーバッティングにするとか、野球からサッカーに切り替えるとか。

 そうすると、本当に痛い奴は参加せずに休んだままだが、なんとかなる奴はそわそわし始め、「監督…治りましたぁ!」とか言ってけろっと走りまわったりしている。

 「楽しい練習」をしても混じってこようとしない子は、これは、要注意である。親御さんと話し、早めに病院へ連れていってもらうようにする。

 「膝が痛くて…」「かかとが痛い…」なんて泣きべそかいても、バッティング練習は喜々としてこなし、ファーストまで全力疾走、サッカーだって奇声を上げて駆け回っている…なんて奴は、絶対、持久走やダッシュ練習でも容赦はしない。

 まぁ確かに、痛い事は痛いんだろうが、「“本当は”我慢できる程度の痛み」なのか否か、という事が重要なのである。

 「我慢できる程度の痛み」なのに周りの大人が大騒ぎして“過保護”になっては、子供の成長も止まってしまう。成長に伴う痛みなのに、“気にし過ぎて”それで成長が止まってしまったらしゃあないわな。

 とはいえ、その痛みを気にし過ぎて、カバーした動きをし続けることにより、他の部分を痛めてしまう、という可能性は大いにあり得ると想う。

 だから、あまり過保護になってはいけないけれども、細心の注意は怠らず、子供の様子をしっかりと観察してあげなければいけない。

 そうして、子供達を良く良く眺めていると…

 お、おまえ、体前屈して、地面触れないの? え、後ろに反りかえって、地面が視えない?? ほんとかよ。

 身体、硬すぎやろ~(-_-;)ゞ

 これでは、確かに、瞬間的に想わぬ方向から強い力が身体にかかってしまった場合、うまくその衝撃を逃がしたりしにくいだろう。

 つまり、怪我しやすいだろう、という事。

 ストレッチは身体を柔らかくするためと想われがちだが、私はそうは想わない。“痛み”を感じるほどに“ストレッチ”すると、かえって身体が“緊張”してしまわない??

 一頃、運動前にストレッチをすると、かえって身体が硬くなって危険、という研究者の方もいらっしゃったと記憶する。

 私も、以前からな~んか、運動前にやるストレッチに違和感を覚えていた。

 首や肩の痛みがかえって増すような気がして、何が悪いのかなぁ、やり方がおかしいのかなぁ、と感じていたもので、私は、筋肉に痛みを感じるようなストレッチって、ウォーミングアップに本当に役立つのか?、と漠然と感じていたから、この「学説」には飛びついてしまった。

 身体が硬くなる、というより、感覚としては、“力んでしまう”もしくは、“締まる”という表現の方が近かろうか? 絶対、「緊張がゆるむ」、「余分な力が抜ける」という気分にはならないハズである。

 柔軟”体操、という言い方がまずいのではなかろうかと想うのだ。「関節可動域拡張」エクササイズ、という表現の方が、ギャップが少なくて良い様な気がする。

 誤解を恐れずに言えば、身体が“柔らかい”、というのと、関節可動域が“広い、大きい”、と言う事は、実は違うことなのだととらえなくてはいけない、のではなかろうかという事だ。

 「身体を柔らかい」という事は、力を抜いて、強風を柳の木が受け流して揺れてまたもどるような、力まない、ゆるゆるとした状態であると意識した方が良いような気がする。つまり、脱力している、という身体、リラックスしている精神、のことだと定義したい。

 あくまで、“従来の柔軟”体操、もしくはストレッチは、関節の可動域を大きくするためにやるもので、それは、身体にかなりの緊張を強いる動きであると想うのだ。それを、“柔軟”体操、と呼ぶことに、ちと、危険が潜んでいるのではなかろうか、と考えたのである。

 柔軟体操・ストレッチを十分やったから「急に激しい運動を始めても大丈夫」、と想うのは本当はすごく危険な事ではないか、ということなのだ。

 “それだけ”では、決して「ウォーミングアップ」にはならないのだ。

 身体を緩める、力まない、脱力する、「リラックスする」から、余計な力が入らず、“故障しない”で“うまく動ける”のであって、その効果は、従来のストレッチ・柔軟体操では「得られない」と想うのだ。たとえば、私が信奉する「ゆる体操」などが、真の『柔軟体操』なのではなかろうか。

 筋肉や関節の使い過ぎによるトラブルを防ぐためのウォーミングアップ、という観点からは、関節可動域を大きくしようとするストレッチ、いわゆる「ジュウナン」という体操は不適切だろう、と言いたいのである。

 ゆる体操や、軽いジョギングなどで血流を良くし、かつ、それからやろうとしている動作を、かなり負荷を緩くしてのんびりゆっくり行い、関節の動きを確認しつつ、機械の中で潤滑油が少しずつ沁み渡っていくような感じで、心拍数を軽く上げながらじわじわと普段通りにスピードを上げていく、という方が有効でありましょう。

 いつも回りくどい言い方になってしまうのだが^^; 要は、【ウォームアップ】と、【柔軟体操・ストレッチ】は全くの別物であろう、と言いたかったのである。

 たとえば、SAQトレーニングに紹介されているような動的ストレッチをやるとか、そのものずばり「野球体操」をするのも、「ウォーミングアップ」には非常に良いと、自分でやってみて感じていた。

SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)

SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本

野球体操[DVD]

野球体操[DVD]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 単行本

 「SAQトレーニング」という記事の中でも紹介したが、このDVD付書籍の中にある、ダイナミック・フレキシビリティ(動的ストレッチ)の方が絶対ウォームアップには有効である。詳しいやり方は本を読んでもらうのが一番間違いないと想うんだけど、一応紹介しておくと、たとえばつま先を上げ下げしたり、円を描くように回したり、開脚して身体の前に両手をつき、左右に上体を振ったりとか、まっすぐ伸ばしたまま振り上げた脚のつま先を反対側の手でタッチしながらリズミカルに前にスキップするとか、股関節の運動を中心に動きながらストレッチする、というメニューが豊富に紹介されているので、私が学童野球の指導者だった頃は、まずは最初にこのメニューを一通りさせてからランニングをさせて練習をスタートさせていたものである。

 この、SAQトレーニングのメニューを取り入れてから、ベースで滑って足首をネンザする子が間違いなく減ったのは実感できた。

 それと、そのものずばりの「野球体操」

 この「野球体操」というDVDで紹介されているメニューを一通りやっとけば、まず、野球というスポーツをするうえでの“ウォーミングアップ”は即終了、このメニューが終ったとたんに実戦練習メニューに入れるでしょう。

 しかも、リズミカルにスキップをしながら行うメニューがほとんどなので、その後わざわざランニングなどの持久系トレーニングメニューを入れなくても、心拍数はかなり上がってしまうはずだ。サーキット・トレーニング代わりにもなる。

 つまり、体力作りにもなる。夏場は、このメニューをやらせるだけで気分が悪くなる子まで出てしまって、まいった(-_-;)ゞ

 この、野球体操というDVDは、別途書籍も出ているので

野球体操

野球体操

  • 作者: 須田 和人
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
  • 発売日: 2011/01
  • メディア: 単行本

 合わせて購入した方が絶対良い。DVDには解説されていない理論や注意点も本には詳しく載っているので、間違った指導をせずにすむ^^;

 こちらにも、全て「動的ストレッチ」メニューがたくさん紹介されているのであるが、とにかく良い事は、「野球専用」にその全てが考えられている点だ。「SAQトレーニング」はどうしても股関節中心のメニューだが、「野球体操」の方は肩関節まわりのストレッチを中心に考えてあるので、終了後すぐにキャッチボールに入れます。

 以上、「ウォームアップ」に有効な書籍、ビデオを紹介しました。

 

 今現在の私の結論として、関節可動域を広げる、大きくする、というストレッチ・柔軟は、突発的に強烈な力が身体に加わってきた場合、ギリギリのところで骨折、じん帯の損傷などの大怪我を防ぐため、として行うべきで、“ウォームアップ”とは全く別のエクササイズとして行うべきだと想う。

 そういう意識を持つか持たないかで、様々な“故障・怪我”に対して「身体の準備」が効果的にできるようになるのではなかろうか。

 SAQトレーニングにも、「関節の筋は体温が上がった方が伸びる性質がある。絶対的な可動域を大きくできるのはスタティック・ストレッチ(静的ストレッチ)だが、ダイナミック・フレキシビリティのトレーニングは筋温を高めながら行うため、柔軟性をより高めることができるのだ。ダイナミック・フレキシビリティ⇒スタティック・ストレッチ⇒ダイナミック・フレキシビリティ⇒スタティック・ストレッチ……と交互に行うことで、効果は大きくなる…」と記載されていた。

 「リラックスさせるため」に「柔軟体操をする」なんて指導者の方はいらっしゃらないとは想うけど、練習前にあたり前の様に行われているストレッチ・柔軟体操、ではあるが、最低限、プレイ前の「静的な」ストレッチは、「身体を緊張させる(硬くさせる)恐れがある」という意識を持ちつつやらせないといけないような気がする。

 だから、スポーツ直前にするストレッチは、ある筋肉を伸ばしたまま目一杯の所で静止する様な事はせずに、ゆっくりゆっくり動かして、これが限界、と感じるまで伸びたと想った瞬間に素早く元に戻し、あらゆる関節において、様々な角度・動きで“一通り行う”ようなやり方が良いと想って実践させている。

 それで、「急激に力が加わった時、身体が曲がってくれる限度はここまで」といった感覚を身体に目覚めさせるのだ。ストレッチとは、「危険回避」の確認のために行うものだと考えながら私は行う。

 本当にリラックスさせたいなら、私は、「ゆる体操」をやらせたほうが効果的だと想う。…が、「気持ちよ~く、気持ちよ~く」と、「ゆるゆるぶらぶら」言いながら、ゲーム中、グラウンドの上で実践するのは、勇気がいるけど…ねぇ?

 そういえば、元ソフトバンクホークスの和田投手は、マウンドで投げる前に、腰をブルブルやってたなぁ。あれは、ゆる体操からヒントを得たのではないのかなぁ。教えてくれないかなぁ。


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