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SAQトレーニング [走]

 走・攻・守、という言葉がある。

 「野球」というスポーツの“成り立ち”を端的に現す表現として、私は非常に的確なモノであると思う。

 走る。

 攻める。

 守る。

 野球のトレーニング・メニューは、まさしく、この三大カテゴリーに大別して考えることができる。

 その中でも、まず一番最初取り組まねばならぬことであり、また、野球で勝つために必要な“チーム力”を手っ取り早く上げることができるのが、走る、という能力を向上させる事だろう。

 だから、私は、野球は『走・攻・守』という順番になるのだ、と信じているのだ^^;

 その走の能力をそれこそ「てっとりばやく」UPさせるトレーニングは、そのものずばりの「SAQ」トレーニング、だと想っている

SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)

SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本

 SAQ、何の略だが、指導者の皆さま、まさかわかってますよねー…?

 

 

 野球というスポーツは、誰でもわかるだろうが、走れないと参加できない。

 攻撃でも、守備でも、脚の速さ(というか反応の良さ)は非常に大切である。

 一番象徴的なのは、攻撃における「内野安打」というヒットであろう。

 これは全く、“脚の速さ”の恩恵をダイレクトに享受できるものだ。

 それに、外野守備。ライン際に飛んだライナー性の打球を、突進して好捕してフェンス激突、なんてプレイは、野球ファンの心情をたまらなく昂ぶらせてくれるものである^^;

 これにも、“脚の速さ”が全く持って必要である。瞬発力・反応力、という表現を使われる方もいるが、その素早さを具体的に表現するツールは、「脚の速さ」というか、「脚を素早く動かす能力」でありましょう。 

 回りくどい言い方になってしまったが、何を言いたいかというと、野球における足の速さで重要なのは、「トップスピード」ではなくて、「加速能力」である、という事だ。

 0から、いかに速く、短時間でMAXスピードまで到達できるか。ゼロヨンタイムが重要なのだ。

 100m走のタイム結果よりも、“30m走の順位”の方が重視される世界であると私は想っている。

 SAQ、とは、何の略か、というと

 S ⇒ スピード

 A ⇒ アジリティ

 Q ⇒ クイックネス

 以上、そのまんま、「“特に球技において”称賛される脚力」を得るために必要な“三種の神器”を鍛えるためのトレーニングなのだ。

 「スピード」は、そのものずばり、最高速、である。100m走以上の距離で良いタイムを出すためにはまず、この能力が低くては話にならない。球技においても、いくら加速能力が素晴らしくったって、すぐに頭打ちになってしまうようでは、外野の間を深々と抜く当たりでも、滅多に三塁打までにすることはできなくなってしまう。

 「アジリティ」は、移動する方向を急激に変えるための能力である。サッカーやバスケット、ハンドボールなどの競技では特に必要なものだろうが、当然野球にもものすごく重要である。守備はもちろん、走塁でも、オーバーランしてすぐに戻ったりとか、間違いなく良く使う。

 「クイックネス」は、静止状態からいかに速く動きだせるか、という能力であり、野球においてこれが一番先に重要になってくる能力のはずだ。SAQ、さて、何から取り組ませようと想ったら、野球の指導者ならばまずはこの「クイックネス」から鍛えるべきでありましょう。

 盗塁においては、静止状態から、ピッチャーのモーションが始まると同時にスタートを切らなければならない。この時はもろにこのクイックネスの能力が試される。

 盗塁というテクニックに必要なモノは、まぁ、フィジカル的な脚の速さ、だけではないんだが、とにもかくにもいかに速くスタートを切り、最短時間でマックススピードまで加速できるか、ということが大事。その能力を磨くためにも、SAQトレーニングで良く紹介されている、「ラダー・トレーニング」というものは非常に有効だと想う。

 実際、野球少年を息子に持つ知り合いの母親に、このラダートレーニングを紹介したところ、さっそく市販のラダーをスポーツ用品店で買い求めやらせたらしいのだが、チームの代替わりのタイミングで、それまで補欠でほとんど試合に出してもらえてなかったレベルの選手だったのに、新チームでいきなり内野のレギュラーになれました!と泣いて喜ばれたことがある(事実である…泣いては、いなかったけどそれぐらい喜ばれた、という話^^;)。もちろん、いろいろなチーム事情もあるだろうから、決してラダートレーニングのお陰だけではなかったと想うが、要因になった事は確かではなかったかな。

 ラダートレーニング、は、“足サバキ”を華麗にするために非常に有効であるだろう。

 ラダーとは梯子の事だが、そのものずばり、梯子の様な形の器具を地面において、そのマスの中に足を入れたり出したりしながら様々なステップを踏みつつ走り抜ける、というもの。

 色々なステップが開発されているが、高校生時代に陸上部に所属していた経験と、7年間学童野球の子供達を指導してきた経験上、私は、先程紹介したこのDVDブック

SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)

SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本

に紹介されているメニューだけで全く充分だろうと想う。

 また、同書には、ミニハードルを使ったトレーニングも紹介されているのだが、これはあまり効果が出なかったかと想う。というか、たぶん、素人には難しすぎる。

 いわゆる「腿上げ」トレーニングになってしまうのだが、これは初動負荷理論の小山裕史氏も書籍の中で否定しているように、腿上げをするとどうしても猫背気味になりがちで、骨盤が後傾しやすいのだ。そうすると、下肢の筋肉の使い方が前面(“ブレーキ”筋である、大腿四頭筋)に集中してしまい、うまい走り方ができなくなってしまう…そうだが、そういう医学的な事は全くわからない。が、なんとなく自分でやってみると、確かに腿の前が極端に疲れるような気がするし、腰が引けたような走り方になる様な感じはする。

 ミニハードル系のトレーニングをするのなら、私は、坂道ダッシュの方が数段効率よく有効にスピードUPには貢献してくれると想う。近所に、傾斜3度~5度くらいの坂道がある人は、非常にラッキーだ。なぜか不思議と「階段」ではダメで、緩くは無い、という程度の坂道をダッシュする方が走力はUPすると感じる。どんなもんだろう。

 速く走るために鍛えなければならない筋肉は、大腿四頭筋ではなく腸腰筋である、とは、良く言われている。腸腰筋が腿を上げるためには必要なんだが、そうすると階段登りの方がかなり鍛えられそうだが、私の実感では、坂道ダッシュの方が、「走るために使う腸腰筋」を鍛えるには有効なんじゃないかなぁ??

 大腿四頭筋はあくまでブレーキ筋であり、ハムストリングスを鍛えた方が良い…とも言われてるけど、結局、球技は前に走るだけじゃなくて急激に止まったりとか方向を変えたりする“アジリティ”も大事なんだから、下肢のあらゆる筋肉は鍛えられなければいけない、とも想うし…。ヤヤコシイ?

 まぁとにかく、「前に走る時」は、例えばズボンのベルトのバックル当たりを前からわしづかみにされてグイッと引っ張られているような感覚で走らないとうまく加速してくれないはずだ。自然と腰を突き出し、胸を張った走り方になっているはず。その姿勢なら、身体を前傾させればさせるほど、うまく加速でき、足をスムーズに交互にスライドさせられるようである。

 後でポンピュンランの紹介の時にも言及するつもりだが、もしも骨盤の後傾が解消しにくい時は、膝を上げるというか、腿を上げて走る、という表現より、膝を“前に出して”進む、という表現で指導すると、劇的に走り方が変化する子供がいるので、一度試してほしい。

 私は、息子には「次々と膝蹴りするように走れ!」と常に言っている。膝を上げる…というか、腿を上げろ!という表現を止め、膝を出すようにして走れ、という指導表現にしてから、ウチの息子は劇的にタイムが向上し始めたのである。これは、本当である。

 学童野球の時、同級生のチームメイトが6人いたが、ウチの三男はその中で「5番目」の脚の遅さにだったにもかかわらず、卒団時にはダイヤモンド一周タイムはチーム最速、しかも、私がコーチになってから記録を取り始めた7年間の歴代タイムの中でなんと2位(16.38秒)の成績(歴代1位の記録(15.86秒)を出した1年先輩の子は、その子が6年生の時、県の小学生陸上大会で県2位の100メートルタイムをたたき出したレベルの“次元が違う”脚の速さを持つ子だった)を叩き出すことができたのであります。

 ちなみに、ウチのチームは、ファーストへ走る方向に対してホームベースの手前、ベースを踏まないギリギリの位置(つまり右打者のバッターボックスにかかる位置)からスタートさせたので、後ろ足をベースにおいてスタートさせるチームよりかは多少タイムが悪くなると想いますよ^^;

 このDVDブックに紹介されている様な「ミニハードル」を使った練習をするよりも、同じくこのヴィデオに紹介されていた、「スティック状のマーカー」を進行方向に対して横向きに置くようにして、幅を“徐々に広めながら”並べておき(つまり、最初のマーカーと次のマーカーの距離は30㎝、二本目と三本目は40㎝…という感じで間を徐々に広めながら置くということ)、一歩ずつ歩幅を広めながらスタートダッシュするような練習をさせた方が、走能力は上がると想い、息子達にはやらせた。

 この「膝蹴り走法」は、ポンピュンランという革命的な走法の中で、一番重要なポイントではないかと想われるところを自分なりに解釈して息子に実践させているメソッドなのであるが、「ポンピュンラン」については、別記事でとことん論じてみたい。

 ただし、膝蹴りしろ、というとのけぞるようになってしまう子がいるので、これはNGであるよ。上体のやや前傾角度を保ったままでするように注意してください。かならず、そっくりかえる子がいるから。

 陸上競技の選手が良くやる、ミニハードルを使用する練習は、たぶん、非常に「高度な意識」を要求されるはずで、陸上競技の専門の指導者から伝授されるのでなければ、素人が独学で手を出してもあまり効果が出ないような気がする。…(…一応、私は、高校生時代は陸上部所属)

 それから、もしもスタートダッシュを強化したいというのなら、後ろからボールを投げてやり、それを追いかけて捕らせる、というメニューは非常に有効だと想う。

 キャッチャーの練習なんかで、座らせた状態からやらせる練習方法も紹介されていると想ったが、やり方は、選手に、内野守備をするときの様な重心を落とした構えをさせて、その後ろの方から頭越しにボールを山なりに投げてやるのである。選手は、そのボールを確認できたら動き始める。たまに、フライングする奴がいるので、たまに間を極端に開けたりとか、左右にふってやると効果的かも? 

 その選手の能力に応じて、身体の前2メートルから3メートルぐらいの地点でバウンドするように投げてやり、2バウンドする前に捕球するように指示を出しておくわけである。バウンドする高さを低くすればするほど負荷の高いトレーニングになるので、選手のダッシュ力をみながらコーチが後ろで投げてやればよい。ボールを捕球しようとするので、自然と前傾しながらのダッシュが身につくと想う。

 ポンピュンランは、特に前に走る時に有効であるが、野球は前に進むだけの競技ではない。時には急ブレーキをかけ、時には直角に曲がることまで要求される。

 つまり、アジリティ、クイックネスを鍛えるSAQトレーニングの中でも特にラダーを使用したものは“走る球技系スポーツ”には間違いなく有効である。このDVD付解説本に付属するヴィデオは、今のところ私は一番わかりやすかった。これ以上の内容のDVDは今のところ知らない。なにか他にこれもよかったよ、という方は是非にご紹介して頂きたい。

SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)

SAQトレーニング―スポーツ・パフォーマンスが劇的に向上する (BBMDVDブック)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本

 お試しあれ。


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