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異音 ~Kawasakiエストレヤとの決別 [オートバイ]

  

 …「……? ん?」

 

 その“異変”に気が付いたのは、会津若松市に入った当たりだったか。

 家を出てから100キロになろうかというあたりだったような。

 

ジャラジャラ~ン

 

 てな感じの音が、タンクの下あたりからし始めてきた。

 

 トイレが近いのでどうしようかと悩んでいたのだが、ここらまで来たならお昼にラーメンでも食べないとやっぱ勿体ないよなぁ、なんてあーでもないこーでもない的な考えが、「異常事態発生!」の緊張で一気にふっとんでしまった。

 

 最初に休憩した道の駅を出発してから直ぐに「およ?」と変な音が聞こえたような気がしたのだが、その時は耳を澄ませても更には聞こえてこなかったので、空耳かやと思っていた。

 ところが、会津若松市の中心部を過ぎてから、はっきりと意識せざるを得ないほど、「異音」が発生してきていたのだ。

 「こ、故障?!?」

 

 30年ぶりのツーリングとなる、リターンライディングのファーストインプレッションが「故障しました。迎えに来て」なんて連絡では、あまりにも悲しすぎる。

 さっそく、バイク購入店の「赤い男爵」さんご自慢の全国ネットワークサービス網を利用する羽目になるんかいな、と、30年ぶりのバイクでの遠出に、程よい緊張感の心地良さが、あっという間に気もそぞろ、である。

 

 シフトアップをしようと、クラッチを切り、同時にアクセルを戻すわけだが、その時に

 「ジャラジャラ~ン」

という音が響いてくるのだ。うむむ、今度こそ耳を澄まさなくてもはっきりと聞こえる。

 そしてクラッチを繋ぐと消える。

 クラッチを切り、アクセルを戻し…た途端、

  じゃらシャラらラ~ん

 と、まぁ、字であらわすと、こんな感じの音。そして、クラッチを繋ぐと消えていく。

 なにこれ? 自宅を出たころには、確かに、間違いなく、感じなかった異音である。

 だんだん、徐々に徐々に大きく、長くなってきているのではないか?!?

 左ももの下ぐらいのあたりから、聞こえる聞こえる、なんじゃこの音は???

 当然、チェーンに問題が発生したのかと考える。

 異音にはっきり気がついて次の道の駅に、この日初めてトイレ休憩の目的以外で寄り、ドライブチェーンを確認する。

 ふつう、「遊び」は3センチぐらい、と覚えていたのだが、う~ん、見た目は正常値範囲内にしか見えないが、実はやっぱりたわみ過ぎているのか?などと、はっきりとした自信もないので疑心暗鬼にかられてくる。でもどこに当たっている風でもなし、違う原因なのかな…と、メカにはど素人なので、途方に暮れてしまう。

後でわかることだが、確かに「チェーンの問題」ではあったのだ。が、チェーンはチェーンでも、ドライブチェーンでは無いところにこの異音の原因があったのだ。

 とにかく、もう少し様子を見ようと、一応トイレも済ませて再び走り出せば異音が治まっている?

 あれ、治ったかな??と淡い期待もものの10㌔ぐらい走ったら打ち砕かれる。

 また、始まった…

 シフトアップしようとするたびに、ジャラジャラ~ん、というか、シャラシャラら~、というか、とにかく動いてるチェーンが何かに擦れて発生するような感じの音。

 それが、したり、しなかったり。一度停車してエンジンの温度が下がると収まるのか、でも、ちょっと走り続けているとまた再開。

 頻尿も収まらず、道の駅に各駅停車、も、続いていた。

 用を済ませて、駐車場に戻るときに目に映るエストレヤは、相変わらずの美しさで清廉と佇み、ご主人様に跨られるのを待っている、なーんて、ちと聞き様によっては卑猥な表現か…

ライダーの、バイクに対して抱く感情は、戦国時代の武将が愛馬に持つ愛情のそれと同じでありましょう。バイクにまたがりエンジンをかける瞬間は、愛馬に乗って走りだそうとする侍に自分を重ねて見たくもなる。

 

 で、あるのに、そのバイクから原因がわからない異音が発生しているという状態は、調子が悪くてあえいでいる馬にどうしても頑張ってもらって戦に向かわなければいけない、てな感じのいヤ~なモノ、なのだ。

 

 ハラハラしながらなんとか仙台市内に入り、オヤジの住む公団住宅に到着。

 全く楽しめないツーリングになってしまいました。

 悲しすぎる。

 次の日、ちょうど、大学生の時フェーザーを買った、バイパス沿いの赤い男爵さんの店舗の前を通るのでよっぽど寄ろうかと思ったが、直感的に絶対こりゃ開腹手術が必要なレベルだろうとしか思えなかったので、そんなことしてると下手するとオヤジのアパートに逆戻りでもう一泊、なんて羽目になると、ちと仕事の関係も煩わしかったのでとにかく行けるところまで行って、動かなくなったらばもうどうしようもないんだから、その時に連絡しようと覚悟を決めて素通りし、一路、国道6号線を南下。

 もしもチェーンが外れてタイヤがロックしたりして転倒したらどうしよう?とか、99.9パーセントありえないような悪い予想が頭をよぎる。でも、「万が一」という言葉通り、今回のコロナウィルスの感染爆発しかり、東日本大震災の津波による福島原発事故しかり、誰もが想像すらしていなかった事がまさに現実となっているのだ。

 国道6号線の、福島原発事故の爪痕を見乍ら走っていると、悪い悪い想像しか浮かんでこなくなってしまう。

 

 ハラハラしながらの帰り道だったが、なんとか無事に自宅まで還れたのでありました。

 

 くっそぉ~、なんだこの“初乗り”は!

 イライラは頂点Max、さっそく時間の空いた日に「赤い男爵」さんへと問題のエストレヤに乗って、殴り込みをかけた、わけで、ある。

 ちなみに私は相当神経質らしく、気が短い、方らしい。カミさんに言わせると。

 

 長くなったので、つづく。

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