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出会い? [オートバイ]

 いつも何気に通り過ぎていた、お隣の市の、帰り道の国道沿いにある“赤い男爵”さんの店舗。

 

 その日は、ちょっとトラブっていた用件がひと段落して、少しリラックスした気分で、おそらく浮き浮きしたところもあったのだろう。

 

 「あ、…」と気づいたときには左ウインカーを出していた。

 

 高校生で原チャリの免許を取り、往年の名車ホンダMBー5を乗り回していた私。

 

 大学生で中型免許を取得し、これまた出た当初はまさしく「衝撃的」なデビューを飾ったヤマハのFZ250フェーザー(250㏄ながら、4気筒ツインカム16バルブ、当時自主規制リミットの45馬力!レッドゾーンは確か16,000回転から、だったかな?18,000回転までタコメーターに表示されてたような…??)のオーナーになり、ツーリングしまくっていた。

 

 ので、バイク屋さんの前を通ると、なんとなく胸がざわざわしてしまうのである。

 

 結婚を機に手放してしまったフェーザーだが、伊豆や四国一周ツーリングの相棒として、7年以上連れ添った。

 

 家庭を持ち、子供も生まれて、春先に出現し始めるライダー達とすれ違い、もしくは後ろを車で“伴走”したりしてると「えーなー…」とうらやましがりながらも、チャイルドシートで無邪気に笑う子供たちの顔を見てると、「わしにゃあ、もう縁のない世界じゃ」とうそぶきながらハンドルを切る毎日。

 いつしか「バイクに乗る」ことさえ思いもよらない男になっていたのであります。

 

 子供たちも独立し、それぞれに生活をする立場になってしまうと、親の言うことなど聞きやしないし、というより、「口出しする機会」自体が激減したうえ、確かにこちらが口出しするまでもないことが多くなり、まぁ、一言で言えば「手持無沙汰」な時間が増えてしまったのだ。

 

 読書も好きだし、映画も良く見る方だし、筋トレとかもまぁ好きだし、庭木の剪定など、庭の手入れも習慣化しているし、休日はそんなに暇ではないと思うのだが、なんつーか、精神的に手持無沙汰なのである。

 それだけ、子育てというものは、精神的負担が大きかった、ということなのだろうが、反面、子供に口出しすることが無くなってくるということは、本当に親として寂しいものなのだ、ということが実生活として身に染み初めてきたのである。

 

 おそらく、「心の空白」部分を、無意識に埋めたいと思っていたのだろう。大学生の時に初めて中型バイクを買ったのと同じ系列店の、“赤い男爵”さんの看板を見かけたら、全く考えもしていなかったのに、駐車場に車を停めてしまっていたのである(笑)

 

 エンジンを止め乍ら、「とにかく、見るだけ、見るだけ…」なんだ、と自分自身に言い聞かせて車から降りた。もし店員さんに話しかけられたら、どんな購入回避のセリフを並べて“口撃”から身を守ろうか、と、戦々恐々としながら店舗内にさまよいこんだ。


 そこで、私の中でイメージしていた、全く理想のバイクに遭遇してしまったのである。

 

 

 続く 

 

 

 

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