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打順?打線? [打撃論]

 ウチの三男は、2番を任されることが多い。

 私としては、成績上、3番を任せた方が打線がつながるような気がしているのだが、監督さんの考え方は違うらしい。

 去年末時点で、出場試合数34試合、79打数で5ホームランで本塁打王、打率も4割以上でほとんど首位、出塁率も常にチームトップで5割以上、盗塁成功数もチームでほとんど2位、たまに1位、ベースランニングのタイムもチームで2番目、という成績である。

 と、数字だけ並べると、トップバッターにも起用したくなるが、どうも「走塁技術」は“弱々”しく、バッテリーにプレッシャーをかけるような動きができない。これは、“テクニック”の問題と言うより、“メンタル”…というか『ハートの問題』であろう。

 どうにも、慎重で、“失敗を恐れすぎる”のと、“なんとしても次の塁を狙う”という気持ちに欠ける。ので、トップバッターには適さない。抽象的な言い方ではあるが、そういう“雰囲気”というものを“持っていない”のである。

 ので、次に当てはまるのが私のイメージでは3番ではないか、と想うのだが、チームの中で、バントのうまさ、エンドランの時のミートのうまさ、フライアウト率はチーム最低(つまり、アウトになる時はゴロが多い、打ち上げない、ということ)という事で、他に安心して2番を任せられる打者がチーム内にいないということもあり、監督さんとしては2番という打順をウチの息子に与えたくなるのだろう。

 本塁打王、といっても、ウチの息子の場合は、パワーでゴリゴリ外野の頭の上へ、高い放物線を描いてボールを運んでいくタイプではなく、あくまでタイミングばっちり芯で捕えた当たりの打球が綺麗な弾道のライナーでライトオーバー、もしくは外野の間を抜ける強いゴロになり、連合の試合球場ではフェンスが無い場所が多いのでどこまでも転がっていってくれるのでホームランになるだけの話であるので、4番、5番という“パワーヒッター”のイメージも少ない。ということで、総合的にみると、3番、よりは2番、を担当してもらうのが確かに一番チーム事情にあっているのかもしれない。とすると、ある意味、“打撃のテクニック”的にはチームで一番信頼されている、と考えておけばよいのだろう(^_^;)ゞ

 チーム事情で打順に与えられる役割も変わってくるだろう。つまり、攻撃の仕方の「好みの問題」なので、良い悪いの問題では無い。結果として、「勝てれば」何も問題は無い。ウチの息子が3番を打とうが、2番を打とうが、チームが勝てれば問題は無い。問題となるのは、あきらかに得点力が下がっている、という場合なのだが、まー、相手ピッチャーのできもあるし、同じチーム相手でもエースが出てきたか、二番手の先発だったかでも結果はがくんと変わってくるから、正直、比較し様がない。

 とにかく、どのような「策戦」を採るか、で、打順の組み方は変わってくるのだ。

 「打順」について考えさせられたのが、このMOOK。

プロ野球 最強の「3番打者」ランキング (別冊宝島) (別冊宝島 1809 カルチャー&スポーツ)

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 野球といえば、昔の感覚だと、まずはなにより「最強!打者」の4番、そして、次に重要視されるのが脚が速くて出塁率の高い1番打者、んで、4番の前後を打つ3番5番、ときて、そのまた次ぐらいに当てはめられていくのがバントが上手で進塁打も意識して打てる2番打者、といった感じでよかろうか。

 6番以降は、およそ、打率もしくは長打率ぐらいの順番でポンポンと並べられていたような気がする。

 私も、学童野球部の監督などやらしていただいた時期があったもので、「打順」をどうするか、というのはいつも悩みの種のひとつではありました。

 しかし、それまで漠然とイメージしていた打順では、なんかこう、歯がゆいような、ずれてる様な、もっと別な“基準”を設けて判断しないといけないんじゃないか、という感覚にとらわれていたので、このMOOKはまさしく「我が意を得たり!」というキラメキを私に与えてくれたのである。

 その訳は…

 

 

 学童野球の指導者時代、野球経験は無かったものの、少しでも子供達に、野球が上達してくれるようにと一生懸命勉強してきたものだが、メンバー表を書くに当たって、打順の意識は、最初はおよそこの記事の冒頭に記したようなイメージであった。

 が、野球関係の雑誌を読んでいたら、ある高校の監督さんが、「ウチでは、一番打者が一番良いバッター。そこから、良い順に打順に入れていく」、なんて話を語っている記事があって、柔らかな衝撃を受けたのを覚えている。

 そうか、なにも、杓子定規に4番だ、1番打者だ、と決めつける必要もないんだな? チーム事情によっては、“打順の役割”まで、自分で好きに考えても良いんだなぁ、と、その時に気づかされたのである。

 学童野球の時の知り合いの監督さんの中には、練習試合は、出塁率順で打順を決める、なんて方もいて、「けっこう、勝てるんですよ」という様な話を聞いてしまうと、「打順なんて、そんなものかな?」なんて思ってしまう。

 けれども、単純に出塁率順で決めてもなんとかなるのは、塁間の短い学童野球の話であり、塁間が通常になる中学生以上になると、バットにボールが当たっただけではなかなか内野を抜けるヒットは生まれず、ある程度のパワーが必要になってくる。

 とにかく、『1点』を奪取するのが本当に苦しいのだ。まさしく劇的な変化であった。塁間が27.34mの「オトナの」世界は、「これが、ホンモノの『野球』なんだぜ」とクールに教えてくれる。

 外野オーバーは滅多に出ないし、ゴロで内野の間を抜くにも、そこそこに速い打球じゃないと追いつかれてしまう。

 ある程度「パワー」がないと、「ヒット」になってくれないのだ。

 まぁ、当然、守備側も、打球に対する反応が良く、脚が速くないとダメだし、肩が強くて正確なスローイングができないと苦しくなるし、で、要は「レベルが違う野球」をしなければならないのだ。

 となると、攻撃する側としては、打順を前後1セットで考えてみると、どうしても、「1,2番」当たりには、選球眼が良く、内野安打も狙える脚の速さを持つ出塁率の高い選手、盗塁が仕掛けられ、ワンチャンスで本塁まで還ってこれる判断力の良い選手を持ってきたくなるし、「2,3番」当たりには、バッティング力は当然として、それプラスバントか、進塁打が打てるテクニックを持つバッターにいてほしいし、「3,4番」には、ガツンと一発、外野の間を抜けるスイングの持ち主に頼みたくなっても来る。

 やはり、打順というものには、法則みたいなものはあるのだ。

 「最強の3番打者ランキング」の中で、私が崇拝する現打撃の神様(昔は落合博満氏)の立浪和義氏のインタビューが載っていたので抜粋する。

 『 「初回に1番打者が二塁打で出て、2番が送って1死三塁の絶好機を迎え、そこで外野フライも打てなくてランナーを還せず、4番も凡退して無得点。そういう試合はだいたい相手チームに流れが行ってしまいます。そういった意味でも3番の役割というのはすごく大きいわけです。 』

 ミスタードラゴンズと呼ばれ、3番打者として先発出場することが一番多かった立浪氏らしく、「3番」という打順には強いこだわりをもっていらっしゃるらしい。

 セオリー、という表現とはまた違うような気もするが、なんというのか、例えば、野球で良く言われる、「替わったところ(ポジション)に打球が飛ぶ」という“言い伝え”の様なモノ。

 そんな、野球を知らない人にはジンクスとしか思えないような話がグラウンドの上では当然の様な話題となる。

 でも確かに、それはあるのだ。

 科学的な根拠は全く無いはずなのに、ポジションチェンジをすると、その変わったポジションになぜかけっこう打球が飛ぶのである。これはまか不思議だ。バッターの方が、無意識に変わったポジションの選手を“意識”してしまうのか?なぜだろう。

 私の感覚では、交代した選手のポジションに、2回に1回は打球が飛んでいるような気がする。そら、打球が飛ばないケースの方が実は多いはずだろうが、印象的には、2回に1回、5割の確率で打球が飛んでいる様な気がするのだ。

 なぜなのか? 誰か、このテーマを馬鹿正直に真剣に調査してくれる方がいらっしゃらないだろうか。

 …それと同じく、なぜか、野球というものは、「4番にチャンスが回ってくる」ものなのである。これも、不思議といえば、不思議。

 4番という打順は打点を稼ぎやすい。当然、打てるバッターを持ってくるから打点も増えるのだが、ある程度打者を替えてオーダーを組んでも、やはり「4番」が一番打点を稼いでいる。なにか、数字のトリックな様なモノが、打順と呼ばれるシステムの中にも存在しているハズなのだが、今のところ仮説も立てられない。

 だが一つだけ間違いなく言えることは、初回だけは、監督が思い描いた攻撃パターンを仕掛けることができる打順になる、ということだ。

 どういうことかというと、とにかく初回は1番バッターから始まる。そら、他の回でも先頭打者が1番バッター、というケースもあるけど、とにかく試合の最初の攻撃の回は間違いなく、1番バッターから始まるのである。

 となると、どうしても自然と「1番打者がなんとか出塁、盗塁を決めるか、2番打者が送りバントして、3番打者でタイムリー、動揺した相手バッテリーに対して、4番打者が追い打ちをかけるようなホームラン…

 なんてイメージで打順を組みたくなってくるのだ(そんなにいつもうまくいくわけないけど…つーか、ほとんどうまくいかないけど(-_-;)…)。

 でもそのパターンのイメージが、打順を決める際の最大の“設定基準”になってしまうのだろう。

 それに、前々から、なぜか2アウトから得点できたり、失点してしまったりしていたもので、「野球は2アウトから」とは良く言ったものだなぁ、でもなんでかなぁ、と頭をひねっていたのであるが、ある日突然そのものすごく単純な“なぜか”に気がついてしまった。

 それは、“ランナーがいる場合”に限定される話なんだが、2アウトだと、バッターが打った瞬間にランナーがスタートを切れるから、なのだ。だから、外野に打球が飛ぶと、よほど脚が遅いランナーでなければ、セカンドベースにいてもホームインできるわけだ。脚の速いランナーだったら、ヘタするとファーストベースからでも長駆ホームインできたりする。

 初回だと、1番か2番打者が出塁、送りバントなどで2アウトになっても二塁当たりにランナーがいる、という状況になりやすい。そこで、長打力のある4番打者のお出まし、ということになるわけで、得点しやすいのではなかったかな?

 私も、学童野球チームの監督をやっていた頃、1アウト1塁の時は送りバントをさせ、2アウト2塁にしてから次の打者に「三振を恐れず、しっかり振ってこい!絶対、当てに行くなよ!2アウトなんだから!!」と指示を出して、けっこう、得点に結び付けられたような気がする。学童野球だと、外野がかなり前を守ってても強いゴロならファンブルして返球が遅れたりする時があったし、打ち上げたとしても内野と外野の間に落ちるポテンヒットってけっこうあるし、外野に飛んでも、ポロリ、なんてしてくれる場合が多かったからね(^_^;)。

 …でもたまに、2アウトだぞ!打ったらゴーだよ!! と、きつく指示を出しているにも関わらず、フライが上がったとたんにセカンドベースに戻ってしまう“強情者ランナー”もけっこう、いたけど… 当然、ベンチ前で私の怒鳴り声に見舞われることになってしまうのだ。

 しかしなぁ、おまえ、毎度毎度そんな走塁してたら、“上”じゃ通用せんぞ… 心を鬼にして怒ってるんだよ。理解しておくれよ。

 

 初回に先取点を取った方が、7割方勝てる、という統計が出ているそうだから、なんとしても、「初回に点を奪う」ための打順を組もうとするのだ。

 …初回以外なら、打順なんて正直、当てにならないと感じてませんでしたかな?全国の監督様方よ^^;;;

 初回以後は運任せ、とにかく塁に出たら、それが脚の速い選手だったら盗塁、でなければ送りバント、2アウトだったら任せた頼むよ一発かっ飛ばしておくれ~、というのが、私はホンネの部分でしたが。だって、それ以外、手の打ちようがないじゃん。

 野球漫画の様に、次の回、そのまた次の回の攻撃を思い描いて相手バッテリーに罠を仕掛けてゆく……な~んて「凄まじい洞察力」の名監督なんて、そんじょそこらにゃいないはずだい。マケオシミマケオシミ…

 

 …と、いうことで、打順。

 打順をどのように決めるのか、といえば、1番、2番、3番…という個々の打者が、繋げてつなげて『打線』となってくれるように組むのである。

 1番から9番打者まで、全てホームランバッターだったら、そら、まぁ、それで勝てるようになるかもしれない。けれども、いつぞやのジャイアンツの様に、かなりのメンバーで本塁打王のタイトルが取れる可能性のある選手で打線を組んでも、シーズンを制覇することができなかったように、打“点”を稼げるバッターがいくらいても、「“打線”になるチーム」相手には勝てないという事が証明されたわけだ。

 いつの時代になっても、「4番打者」というものが看板になるのが野球というスポーツなのだろうが、その4番が“主役”として輝くための「最優秀助演賞」を与えたくなるのが3番打者なのではなかろうか。

 3番打者がチャンスを広げないと、4番打者は輝けないのだ。

 私は、野球における3番打者は、ゴルフにおけるユーティリティ・フェアウェイウッドのような存在なのではなかろうか、と想うのだ。時に長距離を狙い、時に正確な弾道を求められ、時にはポイントに正確に落すために使われて、グリーン周りからはアプローチ気味にも使われるユーティリティ・ウッド。

 野球における3番打者も、ヒットを求められるのは当然、長打も期待され、時には進塁打も打てなければならず、場合によっては送りバントやスクイズもやらされる。1番2番が倒れ、2アウトの状態で塁に出れば、盗塁もしてほしい。盗塁は無理な状況でも、4番打者が深々と外野の間を抜く長打をかっ飛ばしてくれたら、1塁から一気に本塁まで駆け戻ってきてほしい。

 「3番打者」とは、なるほど、安打を打つ能力+小技+走塁能力、などなど、全てにおいてハイレベルな能力を求められているものなのだ。ある意味、4番打者よりも“オールマイティ”なスーパーマンが必要なのかもしれない。

 得点力の高いチームは、間違いなく、3・4番がうまく機能しているはずだ。

 3・4番をわけるボーダーラインは、「長打力」と「走」のバランス、でありましょう。バントやエンドランなどの能力は、練習次第でなんとかできる部分もあるが「走」となると鍛えるには限界がある。

 それと同じく、「長打を打つ」能力も、これまた“持って生まれたもの”という部分が非常に大きいはずだ。

 ミート力+走力があれば3番、走力は度外視しても、とにかく「長打」を打てるか、しかもランナーがいるときでも、気負わずいつもどおりにふてぶてしいバッティングができるや否やが「4番打者」の条件。そして5番以降は、打力順に決めていく、という形でありましょう。

 ところで、立浪氏は、8番以外の打順を全て経験したそうだが、その中でも一番難しい打順は、2番だったそうだ。

 『 「バントだったのがエンドランに切り替わったり、バスターエンドランに変わったりと、1球1球複雑なサインが出るのが2番なんです。一番難しい打順は、僕にとっては2番だったですね。」 』

 なるほどなぁ。そこを任されてるんだから、ウチの息子、やっぱり、一番“信頼されている”んだなぁって、褒めてやってもいいんだろうかなぁ。でもなぁ、俺の中の感覚じゃ、3番が一番似合ってる様な感じがするんだけどなぁ。好みの問題だよなぁ。うん…

 

 近代野球でも、「打線」においての“主役”はやっぱり4番、なんだろうけど、その4番を輝かせるためには、球場が大きくなり、守備のレベルもアップしている現在の野球においては、従来からの「1番打者」はもともと重要なのは変わらないとしても、今ではそれと同じくらいに「3番」の役割が重視されている様な気がしているんだが。

 なおかつ、その1番、3番の活躍を“つなぎあわせる”という、意味で“一番”難しい2番打者の役割が、あるのだ。

 …2番打者、は、野球のゲームという「筋書きの無いドラマ」において、主役と準主役を引き立てる名脇役、といったところなんでしょうなぁ。

 ちと、渋すぎ… ? …

 と、すると、1番打者のドラマにおける役割はなんに例えましょうか? 要所要所で神出鬼没の、主人公を助ける名探偵、みたいなもんやろか^^;

 ただ、下位打線ならどうでもよいのか、という事は絶対なく、下位打線でヒットが出てくれて、そのままチャンスをトップバッターにつないでくれた時などは、“ビッグ”チャンスになる時がある。というか、大量得点を奪うためには、当然なんだけど下位打線のどこかでヒットを打ってくれないと絶対無理なわけだ。

 ところで、5番以降の打順の中で、私が最も悩んでしまったのが実は「9番」だ。

 まぁ、どうしても一番打てない子が9番に回されていくわけだが、ここに「どんくさい子」を配置してしまうと、まかり間違って(?)塁に出てしまった場合、1番バッターがふたをされてしまったようになってしまい、学童野球でもゲッツーになってしまったりして、ミスミス「大チャンス」をつぶしてしまいかねないのだ。

 だから、私の理想の9番打者は、なかなかヒットは打てないのはしょうがないけれども、選球眼が良くて、フォアボールで出塁してくれる可能性は高く、それよりも大事なのは、1番バッター並の走力があり、走塁能力が高く、できれば盗塁もしかけられる選手、でありましたが… まー、そんなにうまくいい選手が揃うわきゃないんだよなぁ。

 どんな打者が何番に座るのが良いのか?

 やってみないとわからないし、その打順(ポストもしくは、地位)が、選手(人)を作る、ということもあるしね。人生と同じく、いろいろ試してみるしかないものでありますよ。うん。


タグ:打順 打線
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